第1章 食いしん坊の神様 ①

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 実際の所、神様憑きの家がお得なのかは良く分からないが、欲をいえば、これで神様が美しい女神様であったら、私の毎日はもっと素晴らしいものであったに違いない。  しかし残念な事に、神様の姿は三十路に差し掛かるくらいの男性の姿をしていた。顔の造りに目立った特徴はないが、どこか人の(神の?)善さそうな顔をしている。  その表情は常に微笑んで……というよりニヤニヤとして青白かった。   体躯(たいく)は長身だが、痩せているので、ひょろひょろと長細い印象だ。くるくると自由自在に跳ねた伸び放題の癖っ毛は、白に近い銀色をしている。  また、服装も古ぼけた着流し姿なので、現代日本に生きる我々から見ると、かなり異様な風体(ふうてい)をして見えた。   もし街中で出会ったなら、絶対に話し掛けられたくないし、極力目を合わせず、全力で避けていく自信がある。
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