第1章 食いしん坊の神様 ①

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『腹が減ったぞ、すぐ飯にしよう!』 『はいはい、わかりました。今準備しますよー』  私はコンビニ袋をぶら下げて、神様の横を通り抜け、居間へと向かった。  一緒に暮らし始めた頃は、相手が神様という事もあって、多少緊張もしていたが、うちの神様の扱いは、近年加速度的に適当になってきていた。慣れとは恐ろしいものだ。   神様に対してこちらから文句を言う事だってある。  先日、神様が家の中でも履物を脱がないのが気になって注意したところ、 『だって、地面に着いてないもん』  と反論されてしまった。確かに、よく見ると神様は、草履(ぞうり)の下、数センチくらい地面から浮いているのである。ホバリングしているのだ。   (くだん)の猫型ロボットもそうだというが、宙に浮く位には、まだ少しは神様らしいところもあるようだった。  私はそれならそれでまあ良いかと思い、以降は気にしない事にしている。
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