第1章 食いしん坊の神様 ①

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 私がぼうっとしながら食べていると、神様はぺろりと一つ目を食べ終わっていた。 『ここの店の握り飯は、塩加減が良いな。サラダのドレッシングはなんだ?』 『和風玉ねぎドレッシングですよ』  私は我に返って、小さなドレッシングの包みを取り上げた。切り口から慎重に開封し、炸裂事故防止に努める。 『ええーっ、ごまだれがよかったなぁ~』  神様は文句を言ったが、私は問答無用でドレッシングを余すところなくサラダに絞りかけた。 『我儘言うんじゃありません』  最早どちらが年上なのかわからない。無論、神様の方が数百年単位で年上であろう。  ただ、この神様は食べ物が好きだという以外に、どこから来たのか、一体何の神様なのかが何も分かっていなかった。このままでは、ただの食いしん坊の神様である。
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