第1章 食いしん坊の神様 ①

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 校門前の銀杏(いちょう)並木の国道は、遠く山の方まで続いている。  学校から自宅までは、まだ田畑の多いこの田舎町の、起伏のある道筋をゆっくりと二十分程歩く。  冬はかなり寒いが、最近はすっかり温かくなったので、だいぶ歩き易くなった。考え事をしながら歩くのに、ちょうど良い距離だ。  歩きながら創作のアイデアが思い浮かべば良いのだが、いつも脳の大部分は授業や会議などの心配事に占拠されていた。  どんなに楽しい事を考えようとしても、彼等は一向に立ち退いてくれないのだ。
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