第1章 食いしん坊の神様 ①

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 途中、小さな商店街を通るが、この時間は大抵の店が閉まっているので、遅くまで開いている駅前のコンビニに寄って夕飯を調達する。  ここも24時間営業という訳ではない。田舎の夜は早いのだ。辺りが暗いので、コンビニの青白い光は強烈に感じられた。店内に足を踏み入れると、明るさに目が(くら)みそうになる。 (今日もコンビニ飯か……)  余裕があれば自炊もするが、大抵は出来合いで済ませてしまっていた。  冷たいケースに整然と並ぶ三角形達が、いつでも自分を待ってくれているだけありがたい。 (家で温かい食事を用意して待つ人も居ないし、そうした人が現れる見込みも当分ないんだよなぁ……)  何も、今考えなくて良かった自身の孤独に思い至って、私は思わず天井を仰ぎ、空腹と強い光でまた少し目が眩んだ。
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