葉っぱのおねがい

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「また入ってるなぁ」    一枚の葉っぱを手にして、ウサギは首をひねりました。  雪解けの季節が過ぎた頃から、ウサギの家の郵便受けに、何故だか葉っぱが紛れ込むようになりました。最初はひと月に一度程度だったのが、やがて一週間おきに、そして今では三日と開けず、葉っぱが入れられているのです。  風に乗って飛んできたのかしらと、ウサギは考えましたが、こう頻繁に入っているとなると誰かのイタズラとも考えられます。   でも何のために?  大きいのやら小さいのやら、緑のやら色づいたのやら、ウサギは郵便受けに入っていたたくさんの葉っぱを抱えて、物知りフクロウの所へ相談に行くことにしました。 「これはアレじゃよ。タヌキからの手紙じゃよ」 「タヌキからの?」  フクロウ爺さんにいきさつを話すと、葉っぱを眺めていた爺さんは、ホウホウとうなずきながらこう続けました。 「葉っぱに『術』をかけた形跡がある。能力がもともと弱いのか、それとも術者の体力が弱ってきているからなのか、『術』が長い時間持たずに、郵便受けの中で手紙から葉っぱに変わってしまったのだろう」  ウサギに手紙を送ってくるような知り合いのタヌキと言えば、思い当たるのは一匹しかおりません。村外れに住む、あのいたずらタヌキです。  ウサギは、数年ぶりにタヌキの家を訪ねることにしました。
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