15人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
8月のある日。
僕が、朝、目覚めると、世界は、滅亡していた。
といっても、何も特に変化は、なかった。
ただ、人間だけが消えてしまった。
僕は、誰か、他に人間がいないかと探すために街へと出た。
が、誰一人、見かけることはなかった。
結局、一日、探してみたが、わかったのは、僕の他には、誰もいないということだけだった。
2日目も、誰も見つけられなかった。
この街は、小さな街だ。
僕は、もっと、大きな街へと行くことにした。
3日目、僕は、この街の外へと向かって歩いていた。
その時だった。
一台の車が通りがかり、僕の横でぴたりと止まった。
「君、もしかして、地球人?」
その4WDの車の窓から顔を出したドレッドヘアの男が、僕にきいた。
僕は、頷いた。
男は、助手席の黒髪のおかっぱ頭の女と、何か、聞いたことのない言語で話していたが、やがて、僕に言った。
「どこまで行くか知らんが、乗せてやるよ」
少し怖かったが、久しぶりに見る人間の姿に、僕は、思いきって車に同乗させてもらうことにした。
ドレッドヘアの男は、オレフと名のった。
「俺は、M-78星雲からきたんだ。まさか、地球人が生き残ってたとは、思わなかったよ」
「ハル。渡辺 ハルです」
僕は、名のった。
助手席の女は、僕によく冷えたコーラをすすめてくれた。
「あたしは、ニコ。よろしくね。地球人のハル」
僕たちは、しばらく、国道沿いに走っていった。
海が見える頃、彼等は、僕に、地球が宇宙人の手で滅ぼされたということを話してくれた。
「地球人類滅亡計画」
オレフは、言った。
「地球上の人類は、悪い種だから、滅亡させようということになってね」
「じゃあ、人間は、僕以外は、みんな、いなくなってしまったんですか?」
僕は、きいた。
彼等の話は、とても信じられない話だった。
だけど、信じるしかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!