照らすモノ

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照らすモノ

瞬きをするたび、世界が変わる。同じだったことは一度だってない。 時というのは去るのが早いもので、私が幾度か瞬きをした間に、大陸が出来、生き物が生まれた。 私は、青一色だったあの頃を昨日の事のように思い出せるというのに…。今では緑も混じり、人もうじゃうじゃと生きている。 サルが人に変わったころ、私を見ることが多くなっていた。私は酒の肴になるらしい。失礼なヤツらだ。 だが、それがおかしくて私は人を見続けた。 星が下に落ちていくにつれ、私を眺める者も減っていった。落ちた星たちは、今では私の方が感嘆させられるほど美しい光景となった。 だが、それを悲しく思うのだ。 親の手を掴んで離さなかった子が、いつしかその手の届かないところへと行ってしまうように。人もまた、私という存在を忘れ生きている。それが酷く悲しいのだ。 それでも私がここにあり続けるのは、いつのまにか心を惹かれていたからだ。 瞬きをするたびに姿を変える人が。生き方を変える人が。成長する人が。愛おしくて仕方がないのだ。 だから私はあり続ける。 心の支えが必要ならば、その心に寄り添える光を。道に迷ってしまったならば、目印となる光を。これから先、どんな結末が待っていようと、私はこの子らをみ続けようと思う。 今一度、人が私を思い出す時まで。
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