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午前5時30分の電車に乗る。地方に住むツヨシはこの電車を逃すと、次の便まで45分を無駄にする。そのせいで会社に間に合わない。その為に腕時計を買ったくらいだ。時間の確認をスマホで行うことをツヨシはなぜか嫌った。時代についていけないタイプの男だ。車を買う金もない。ただ電車が好きだという理由もあるが。毎日、同じ時間に電車に乗る人達の顔はもう覚えた。いつも目が合うとすぐに目をそらす同年代風の女。そんなつもりじゃねーよ。心で呟く。この時間帯の客は少ない。いや、きっと人口が少ないのだ。華やかな都会に行った友達も多くいたが、ツヨシにはそんなアコガレなどなかった。
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