バイトの子

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バイトの子

ツヨシの会社はよくある中小企業だった。そこで事務作業をこなすのがツヨシの1日だ。淡々と作業をこなす。最初の頃はプレッシャーなどもあったが、入社して2年目の今、そんなことはなくパソコンや資料に目を向けている。 「タナカさん、コーヒーです。ブラックでしたよね?」 最近バイトとして入社した女の子はそれが当たり前だとでもいう風に、毎朝みんなにコーヒーを配っている。 「ありがとう、ヨシカワさん」 この時ツヨシが思ったのは"タナカツヨシ"という自分の平凡すぎる名前だ。ヨシカワはもう一歩がんばれば美人の部類なのだろう。化粧っ気が少なく、少しポッチャリしているせいで"美人"には届かない。表情も作り笑顔でどこかぎこちない。だけど、ヨシカワの飲みやすい温度で淹れてくれるコーヒーは好きだ。飲みながら、やはりおいしいと思った。ふとヨシカワを見るとコーヒーを配り終え、部長にコピーを頼まれている。コピーをとる時、口角が上がるのはクセではなく、その作業が楽しいのだろう、と思う。ツヨシはコーヒーを飲み終えて仕事を続けた。
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