8っつのコップ

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河川敷の近くにある、この一戸建ての実家には、毎朝家の前をジョギングをしている同級生の愛加がいる。愛加は、中学校の時から、陸上部の部活に明け暮れ、高校にスポーツ推薦で進学し、国体目指し脇目も触れず練習熱心だ。一方の俺は、何か自分で開拓して、それを磨き続けれる人になれという両親からくれた名前で、今日も、机に向かい、石の上にも三年の如く今日は学校前の予習をして、自分の頭の中に学んだ語録を叩き入れ、閉ざされた世界に監禁されているかのように、一人黙々と勉強している。高校二年愛加と小学生の時からの知り合いで、家が隣なのだ。時々家の前を走る愛加を見かけているが、話しかけれる雰囲気ではなく、何処か自分を追い込んでいるような、険しい表情でその愛加を実家の二階から、眺めていた。俺は、その愛加を羨望の眼差しで見つめていた、幼い頃から、一緒によく遊び何事にも凛と一生懸命に取り組む姿勢に、皆から慕われて、そんな愛加に憧れていた。まだまだ知らない事が多い小学生の時、ある日愛加に誕生日プレゼントを渡す事にした。そのプレゼントを選んだきっかけがある。下校途中で、五人くらいの生徒と、かけっこの練習をしていた時、愛加が一人転けてしまった。靴も泥だらけになった。それを見た俺は、大丈夫?と言ってあげる事しか出来なかった。だから、俺は誕生日プレゼントに運動靴を渡そうと思って、愛加の家に行きプレゼントを直接渡した。 お誕生日おめでとう。俺は愛加にそう言って、愛加はプレゼントを受け取った。その時の笑顔が忘れられない。
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