腹痛と病院の “はざま”

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腹痛と病院の “はざま”

「こんな堅いの食えるか――!」  もうちょっと食べてよと吉澤に勧められる。 どんだけ詰め込めば気が済むんだ。 吉澤はお腹いっぱいのパッカー君の腹を見ることもせず、もう少しもう少しと口の中にいれていく。 「身体が重くていけねぇ」  このままだと腹が痛くなって身体が壊れる。 そう感じたパッカーは口からゲロゲロと吐き出した。そう、吉澤を睨みながら。  仕方ないか、と吉澤はあきらめてパッカーの頭を撫でた。 「よし、行くか」 「病院か?」 パッカーは吉澤に連れられて30分ほど走り、到着するとそこは長蛇の列をなしていたが、それでも並ばざるを得なかった。 近くで開いているところはそこしかない。  順番が来るとパッカーはまたゲロゲロと吐き出す。腹に入っていたものをここぞとばかり全部出してやった。 「ざまぁみろ」 パッカーは腹痛や吐き気をもよおすも、大事には至らなかった。薬は出ないものの身体は軽くなり、軽快なステップで帰路についた。 そしてまた明日、塵芥車は次の現場へ枝葉のゴミを食べに行く。
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