第一章 きっかけ

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「しつこい! 付き(まと)わないで、って言っているでしょう」 今日も今日とて昼間だというのに……私の隣と足元には霊がいる。 〈そんなこと言わずに助けてくれよ。母ちゃんがアレを見たら絶対にショックを受ける。卒倒する。死んじゃうかも……。そんなことになったら……俺……俺……〉 泣きそうになりながらも必死に訴えてくる青年は、全身が血に汚れ、見るも無惨な姿だった。 ――全く、勘弁してよ。 どうしてこんなもの(=霊)が視えるようになったのか? 原因は分かっている。しかし、理由が分からない。深く息を吐き、きっかけとなった事故を回顧する。
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