狩人の顔

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狩人の顔

千夏は理沙の机に腰をかけている。口には咥えてないと落ち着かない棒付きの飴。視線は天井に向けられており、理沙と会話をするわけでもない。理沙も特に気にすることなく、スマホをいじっていた。「そう言えばさ、」理沙が独り言のように呟く。「すっげぇ尖った生徒がこの学園にいるらしいよ。」千夏の咥えている飴の棒が上下に動いた。ギンっと理沙に視線を向ける。『ノッてきたな。』理沙は話を続けた。 「一年のさ、物理工学科にそいつはいるらしいよ。」 理沙の話を総合すると、それは女生徒である、あまり登校しない、尖りが半端ない、理工系の成績では学内1ということだ。話を聞き、千夏は目を輝かせていた。鼻がピクピク動いている。『これは・・行くな。』理沙は千夏と付き合いが長いので嬉しい時の態度はよく分かる。鼻がピクピクなのが千夏の癖。嬉しい時にしかでないけど。「理沙、放課後面貸しな。」ニッカリと笑い、千夏は教室を後にした。
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