白い男とピンクの女と黒いカラス

10/18
前へ
/69ページ
次へ
「さすが鴉様のお孫さんですね。渚ちゃんは、何か特別な教育をされているんですか?」  渚の通う幼稚園の園長先生から切り出され、世津子はうろたえた。 「あの……うちの孫が、何かいたしましたでしょうか?」  これまでも、絵本を破っただの、おもちゃをお友達に向けて放り投げただの、テーブルに飛び乗ってジャンプしただの、予想外の振る舞いをする渚に散々恥をかかされてきた。 今回も、その手の行為に関する注意を嫌味たらしく言おうとしているに違いない。  全容を聞き終えるまで、どんな醜態を告げられるのかと世津子は顔を赤らめ、胸の前で拳を握りしめていた。 * 「真帆さん、気づいていたの? 渚の能力のこと」  高揚感に包まれたような、嬉々とした表情の世津子に問われ、真帆は粗方の察しがついた。 「……国旗のことですか?」 「そう、それ!」
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加