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「で、追い出されてここへ戻ってきたわけ?」
「私から出ていったのよ。渚を連れて……っていうか、心の声が漏れてた? どの辺りから?」
「『非凡な孫娘を』からっす」
ジョージに指摘され、改めてダメ出しを食らった気持ちになる。
━━欲しいのは、非凡な孫娘。平凡な嫁は、必要ない。
「さっきから聞いてりゃ、アンタの夫はどうしてんの? 一切、話に出てこないじゃないか。カラスって女の息子なんだろ?」
鋭く核心を突く洋子に、真帆は他人ごとのように素っ気なく答えた。
「子どもに興味のない人だったから」
渚の父親……つまり真帆の元夫は、簡単に離婚届けに判を押し、あっさりと慰謝料まで手渡してくれた。そのお陰で、この海辺の家を買い戻すことができたのだ。今となっては、彼がどんな人となりだったか思い出せない自分も、たいがい冷たい人間なのではないかと思う。
「まあ、分からなくもないよ。アタシも子供は苦手だし」
実の娘を目の前に、よくもそんなことをと呆れつつ、洋子らしい発言に真帆は小さく笑った。
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