動物園の魔術師

1/24
前へ
/24ページ
次へ

動物園の魔術師

1  「これは読者の想像に全てを委ねる、飛び出す絵本だよ」  紙に書いた絵を現実のものにする、召喚魔法。 書いたものはなんであれ、全てを呼び出すことが出来るが、召喚したかずだけ紙をたくさん使うため、召喚魔法の管理が大変になると一冊の本という形にされた。これを作ったペイジという男の子曰く「世界に一つしかない魔法書」だという。  「ヨッピー・ブレーメンくん、この本を君にプレゼントしよう」  「ありがとう。全て白紙の魔法の本か、珍しいな」  ペイジから飛び出す絵本を受けとったヨッピーは、ぱらぱらとページを捲りながら、驚きの声を上げた。  「ぼくは、君たちのお陰で『幼稚園の魔術師』を最後まで書くことが出来たんだ。だから、今度はぼくがヨッピーたちを手伝う番だよ」  ペイジは通っていた幼稚園で、初めて本というものを召喚した。何も書かれていない白紙の本。ここに物語を書いて一作の小説『幼稚園の魔術師』を完結させたのだが、ヨッピーたち友人の力を借りた。  「一緒に物語を作るのは楽しかったよ。今度は僕たちが、僕たちの物語を作ることになるのか?」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加