14人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
1
〜2年B組愛の劇場〜
カワジョラブストーリー 作・青虫渚
最終話「涙のクリスマス・イヴ」
12月24日。
授業が終わるとすぐ、先生が愛の席までやってきた。愛は顔を真っ赤にして先生を見上げた。先生はいつもと変わらぬクールな顔で、学級日誌を差し出した。
「え?」愛は戸惑った。「私、日直じゃありませんけど…」
言いかけて、ハッとした。愛は素早く日誌を開いた。今日の日付のところへ、一枚のメモが挟まれてあった。メモにはこう書かれてあった。
『17時、緑ヶ丘の駅の改札で、待ってる』
愛はそのメモ書きを見た途端、嬉しさのあまり死んでしまいそうになった。すると先生は「あ、お前じゃなかったっけ。間違えた」とボソボソつぶやいて、日誌を取り上げた。「ええと、誰だったかな」
「わ、渡辺さんです…」
「あ、そうか。悪い悪い」
先生は立ち去った。先生があまりにも堂々としているので、周りの友達は気づいていないようだった。けれども愛は先生の耳がほんのりピンク色に染まっているのを、ちゃんと見逃さなかった。
愛は震える手で、カバンへそのメモ書きをしまい込んだ。潰れないよう、とっても大事に、とっても丁寧に。
最初のコメントを投稿しよう!