5 禁断の果実!最強乙男、キューティー スウィートハート登場

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5 禁断の果実!最強乙男、キューティー スウィートハート登場

いろいろあったが、俺たちは、夏の大会の第一試合をサヨナラ勝ちで突破した。 俺たちは、地元のため、それぞれ、一度家に帰ることとなり、その帰り道にルイと、俺と、応援に来てくれていた敦は、公園でコンビニアイスを食べながら駄弁っていた。 誰もこのまま家に帰ってしまうのは惜しいと、思っていた。 そんな、夜だった。 「次の試合は、いつ?」 敦がきくと、ルイが答えた。 「明後日だよ。瀧野本学園と」 瀧野本学園は、優勝候補の呼び声の高い高校だった。 俺は、身が引き締まるのを感じた。 「必ず、勝つ!」 俺が言ったとき、こつぜんと、ルイの姿が消えた。 「ええっ?」 俺は、さっきまで、ルイが座っていたベンチをなで回して確認したが、ルイの姿は、なかった。 「何で?」 「政勝、あそこだ!」 敦が叫んだ。 そこには、公園の外へと向かっている二人組の姿があった。 奴ら、何か、大きな物を担いでいた。 「あいつら」 白髪の不良と、リーゼントだった。 「あいつら、懲りもせずに」 俺は、アンバーを呼んだ。 「アンバー!」 「もちろんよ!」 アンバーが気持ちの悪いウインクをした。 「時よ、止まれ!」 俺は、敦が静止するのを確かめてから、叫んだ。 「エンゲージ!」 俺のまわりの空間がぽうっと、明るくなった。 「インフィニット ラブリー チェンジング!」 俺は、光の中で全裸になり、再び、温もりに包まれた。 俺は、赤いミニチャイナドレスに、スパッツという姿で、キュートなポージングをとって、言った。 「ラブリー、プリティー、スウィーティー!溢れる魅力は、無量大数!」 キュートにウインクを決めて、俺は、言った。 「キューティー ダーリング!」 「ぐぎゃおおおっ!」 突然、闖入してきた、ネズミの頭の怪獣が、俺に襲いかかってくる。 俺は、怪獣の攻撃を受け、吹き飛んだ。 「くうっ!」 その時だった。 敦が、叫んだ。 「エンゲージ!」 「ええっ!」 俺が見守る中、敦は、光に包まれていく。 「インフィニット プリティー チェンジング!」 光の中で、全裸になり、変身していく幼馴染みの姿を、俺は、遠くひいて見ていた。 「グラマラスで、クレイバー!溢れるチャームは、誘惑の罠!」 ブルーのキモノドレスにスパッツという姿で、敦は、キューとなポージングで立っていた。 「キューティー ラヴァー!」 「敦、お前」 声をかける俺から、目をそらして、キューティー ラヴァーは、言った。 「言うな!全ては、ルイのため、いや、お前のためだ!」 「何?俺のため?」 「そうだ」 キューティー ラヴァーは、言った。 「お前一人をこんな修羅の道に送り込むことなど、俺にはできん。だから、俺も契約をした」 「敦、いや、キューティー ラヴァー」 俺は、胸がじんとしていた。 何ていう、友情なのか。 「ありがとう。礼を言う」 「勘違いするな」 キューティー ラヴァーは、言った。 「俺は、自分のためにやっているんだ」 「自分のため?」 俺は、はっとした。 「ま、まさか、お前、本気で、こういうのが好きな奴だったのか?」 「違うわ!」 キューティー ラヴァーが叫んだ。 「キューティー ダーリングよ」 キューティー ラヴァーは、言った。 「いつも、お前は、ルイしか見ていなかったから、俺が近くで常にお前のことを見ているということに、全く、気づかなかった」 「ええっ?」 俺は、嫌な予感がした。 「どういうこと?」 「つまり」 キューティー ラヴァーは、俺の手をとり、俺を抱き締めて言った。 「こういうことだ!」 俺は、奴に、唇を奪われた。 アンバーが叫ぶ。 「ちょっと、あんたたち!いい加減にしなさいよ!」 「そうだ」 スナ○キンが言った。 「私情に走るのは、やめろ!キューティー ラヴァー」 「すまない、クロム」 キューティー ラヴァーは、呆然としている俺を離すと、敵の怪獣に向かって叫んだ。 「スウィート メルティー ストロング アロー!」 「ちゅちゅーっ!」 ネズミ型怪獣が、蜂の巣にされて、消滅する。 「しびしび!」 「急げ、キューティー ダーリング!」 キューティー ラヴァーが言い、俺たちは、走り出した。 遠くに、あきらかに、奴らの車とわかる、シャコタン車が走っていて、白髪の不良、羅刹が、箱乗りしているのが見えた。 「クロム!」 「任せろ!ドール スレイザー、来い!」 実は、クロムという名だった、スナ○キンが叫ぶと、茂みから、黒猫が飛び出してきた。 「にゃごーん!」 「スレイザー、頼む!」 キューティー ラヴァーが言うと、黒猫は、ふにょっと、形を変えていき、やがて、原チャリの姿になった。 「急げ、キューティー ダーリング!」 原チャリに乗りながら、キューティー ラヴァーが言った。 俺は、アンバーをじっと見た。 アンバーが言った。 「わかっとるがな、オライオン!」 「ぎにゃああぁ!」 何処からか、白猫が現れた。 俺は、叫んだ。 「頼むぜ、オライオン!」 オライオンは、ふにょっと輪郭が揺らいだかと思うと、変形していき、やがて。 「なんだ、これは?」 俺が聞くと、アンバーがてへっと笑いながら言った。 「ママチャリ?」 オライオンは、一台のママチャリに変化していた。 俺は、きいた。 「なんで、ママチャリ?」 「いいから、急いで!キューティー ダーリング!」 「お、おう!」 俺は、とりあえず、ママチャリにまたがり、奴らを追うことにした。 俺は、こいで、こいで、こぎまくった。 それこそ、必死で。 坂道を登りながら、汗を流して、息を切らしている俺の横を、原チャリのキューティー ラヴァーが、何か言いたそうな顔をして追い抜いていく。 「こっちに乗る?」 キューティー ラヴァーがきいてくるので、俺は、きっぱりと言った。 「あわれみは、いらん!」 俺が、坂を上りきり、すごいスピードで下りだしたとき、港が見えた。 といっても、小さな漁港だった。 奴らのシャコタン車が止まっているのが見えた。 「奴ら、漁船で逃げる気だ!」 キューティー ラヴァーが言った。 俺は、叫んだ。 「そうは、させるか!」 俺は、そのまま、スピードをあげて、奴らの漁船へと突っ込んだ。 「貴様ら、そこまでだ!」 「ひぃぃぃぃ!」 「化け物か!」 俺の迫力に、震え上がる二人。 ママチャリを捨てて、奴らに向かって立った俺の前に巨乳のお姉さんが現れた。 ホルスタイン柄のボディコンを着たそのお姉さんは、言った。 「あなたたちのお相手は、あたしがしてあげるわん」 「何?」 身構える俺の前で、そのお姉さんは、大きな扇を振りながら、踊り出した。 胸が。 超高速で揺れ、それが、奇妙な催眠効果を発揮していた。 俺は、めまいを覚え、片膝をついて、呻いた。 「こ、これは」 「ふふふ」 巨乳のお姉さんが笑った。 「あたしの乳揺れ攻撃からは、誰も、逃れられないわよ!」 「スウィート メルティー ストロング アロー!」 数本の矢が乳牛、いや、お姉さんの体を貫いた。 お姉さんが消滅する。 「しびしび!」 「何ぃ!ホルスタイーヌの攻撃が通じない者がいたとは」 羅刹が叫んだ。 「こうなったら、田中さん!」 「おう!」 田中さん、こと、リーゼントが、ルイを抱き起こして、立たせると、その喉元へ十徳ナイフをあてて言った。 「お前たち、これが見えないか!」 「何!」 俺たちの動きが止まった。 「ルイちゃんを傷つけたくなければ、貴様らは、船から降りろ!」 「ぬぅ」 「早くしないと、やっちゃうぞ!」 羅刹が嬉しげに言う。 俺は、仕方なく、船から降りた。 漁船がエンジンをかけて、海上を走り出す。 「ルイ!」 船が港を出ていこうとしたときのことだった。 突然、船が爆発し、奴らの悲鳴がとどろいた。 「な、なんだ?」 驚いている俺たちの前に、ちっさい幼女の姿をした戦闘妖精と、白い翼で空を駆ける一人の魔法少女の姿が現れた。 「美しい」 俺は、思わず、呟いた。 薄いシフォンの薔薇色のミニドレス姿のその美少女は、俺たちの前に着地すると、言った。 「この服、すーすーして、落ち着かない!」 「ルイ?」 俺は、恐る恐る、きいた。 「そうだよ、僕だよ、文句ある?」 なぜか、切れてるルイは、言った。 「こんな格好、もし、敦に見られたら」 「俺が、何だって?」 キューティー ラヴァーが、言った。 ルイは、目を見開いて、信じられないものを見たような表情をして言った。 「あ、敦?」 「キューティー ラヴァー、だ」 答えたキューティー ラヴァーに、ルイは、涙をにじませて言った。 「もしかして、僕を守るために?」 ルイが敦の胸へと飛び込んでいく。 「ありがとう、敦」 「だから」 キューティー ラヴァーは、ルイの肩に手を置いて言った。 「俺は、キューティー ラヴァー、だ」 「いいんだよ、もう、隠さなくっても。僕も、仲間なんだから」 ルイが言った。 俺は、一人、ママチャリに乗って、帰路についた。
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