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橋本は素早く立ち上がると、ダッシュで二階に駆け上がっていった。勿論俺も続く。今日は一人じゃないからさほど怖くはない。
二階に上がりきると、先に来ていた橋本は俺の部屋の前でドア越しに耳を傾けている。俺が近くまで行くと、橋本は人差し指を口に当て(静かに)と口パクで言う。あれだけ足音たてて階段駆け上がったのに静かにしろもないもんだと思ったが、俺もそっと足を忍ばせドアに近づく。
「クスクス」
「クスクス」
聞こえる。俺と橋本はお互いに目を合わせ声が聞こえる事を確認しあう。
「〇▽〇×」
「〇▽〇×」
何て言っているのか聞き取れない。業を煮やした橋本はドアノブに手をかけた。開けるつもりらしい。しかし俺は何となく嫌な感じがしたので、慌てて首を振り止めた。橋本は何で?という顔をしたその時、ドアの近くで
「いるよ」
「いるよ」
と言ったのがはっきり聞こえた。
「うわぁ!」
俺は驚いて尻餅をついてしまった。
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