日引

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「おい橋本」 「ああ」 さっきから生返事ばかりだ。俺は鳥肌が立っている腕をさすりながら橋本の腕をつかみ部屋から出ようと思ったが、俺の手は空を切った。橋本が部屋の隅の方へ移動したからだ。 「これかなぁ」 橋本が見ている物は、あの般若の面が入った箱だ。一気に寒くなる。 「知らねえよ。いいから早く出よう」 「ああ」 橋本は俺に構わず箱に手をかけ蓋を開ける。前見た時と変わりのない般若の面が入っているだけだ。橋本はその面をじっと見つめたまま動かない。 「おい・・・・・・どうした?」 全く動かない橋本を見て俺は何かおかしなことでも起きるのでは?と恐ろしくなった。 すると、橋本は箱の中からお面を一つ取り出すと、そっと自分の顔に当てた。 「なっ‼」 橋本の行動が信じられなかった。何かに乗り移られたのかと本気で心配した。しかし、俺の心配をよそに、橋本はゆっくりとお面を外し箱に戻す。
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