日引

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「お、お前・・何やってんだよ」 橋本は黙って立ち上がると、そのまま何も言わず俺の横を通り一階へ降りていく。 慌てて追いかけると、橋本はリビングの椅子に座っていた。顔色が悪い。 「水くれないか」 ようやく話したかと思ったら、水の要求だ。不思議に思いながらコップに水を入れ渡す。 橋本はそれを一気に飲み干すと 「俺さ、オカルトめいたものは好きなんだけど、実際信じてないところもあるんだよな。何か胡散臭いって言うか、分からないものに対して心霊だとかポルターガイストだとかさ。そう言って面白がってるとしか思えないわけよ。だけどそんな中にもさ、本物ってあるんだよな。そういうのを探すのが好きなわけ」 こいつ何言ってるんだ?そう思ったが取り敢えず最後まで聞くことにした。 「本物ってさ。怖がらせようとしてないんだよ。何て言うか・・・・・・気がついてほしい。みたいな感じ。よくテレビとかでやってるのを見るけど、驚くだけじゃん?心霊映像じゃなくて、ありゃあ驚き映像だよ」 どうしたんだ?こいつ。何が言いたいんだ。俺はサッパリ分からなかった。
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