86人が本棚に入れています
本棚に追加
/250ページ
水島も訳が分からないまま、二人の後に続き家を出る。
この時の事は俺はあまり覚えていないが、後で橋本に聞いたところではかなりのパニック状態で道路わきに立っている電信柱にしがみつきわんわん泣きながら嫌だ嫌だと繰り返し言っていたらしい。
気がつくと俺は水島のおんぼろ車に乗っていた。後部座席に寝かされている状態で目が覚めた俺は
「あれ?」
と言い体を起こした。助手席から後ろを向いた橋本が
「あ、気がついたか?お前大丈夫かよ」
「俺・・・・・・」
「どうしたんだよ。急に叫んだと思ったら外に飛び出して。マジびっくりしたから」
思い出した。あの階段から覗いていた顔。鼻から上だけ出ていた顔。そして・・・・・・
笑っていた。
口元は見えなかったから分からないはずなのに、目が漫画のように細い三日月のようになっていたので笑っていると思ったのだ。
その事を二人に話すと水島が
「本当⁉そう言うのはすぐに言ってよ。見たかったなぁ」
俺はその言葉に腹が立った。
最初のコメントを投稿しよう!