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あの日・・・・・・奥様が双子を産んだ日。
お産婆が双子だと気がつき、その場で手伝いをしていた女中に主人を呼んでくるように言いつけたあの時・・・・・・私は座敷の外の廊下で、奥様が無事お産なさるように祈っていた。
すると、バタバタと座敷から飛び出していく女中を見て驚いた私はいけないと思いつつも、襖を少しだけ開け座敷の中の様子を覗き見た。すると、一人の赤ん坊が産まれて奥様の腕の中で元気よく泣いている。安堵した。
では、あの女中はなぜあんなに慌てて飛び出していったのか。お産婆の陰になりよくは見えなかったが、お産婆は「大丈夫じゃ」という言葉を何度も繰り返し言いながら何かをやっている。
「?」
私は良く見えるように少し体をずらす。すると、お産婆の手の中にはもう一人の赤ん坊がいた。
(双子なんだ・・・・・・)
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