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「きぬ。起きているか?」
(ご主人様だ)
声で分かったきぬは慌てて
「は、はい!起きております!」
と、飛び起きた。主人は少し慌てた様子で
「そのままでいい。そのままで聞いてくれ。きぬ。・・・・・・見たんだな」
今のきぬは寝ぼけた頭でも、その言葉だけで何の事かすぐに分かる。
「はい」
「そうか。きぬは知っているかい?この村に伝わる双子に関する言い伝えを」
「はい。母ちゃん。いえ。母から聞いたことがあります」
「そうか。この小此鬼家に産まれたのがまさか双子だったとは・・・本当に驚いたよ。それに、お産婆の話だと後に産まれてきた子の方は余り息をしていなかったそうだ。であるならばと・・・・お前が見たとおりだ。しかし、家内にはまだ伝えていない。子供を産んだばかりだからね。そんな事を知ってしまったらどれ程悲しむか。でも、母親をだますことは出来ない。どうしたらいいかと両親に相談したところ、やはり正直に話した方がいいと言われたんだ。但し、お産婆がやったことは伏せて。きぬ。お前は秘密を守れるかい?」
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