決行

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そして次の日の朝、主人が奥様に話をしに座敷の前まで来た時、中から子供をあやすような話声が聞こえてきた。主人は中をそっと覗いた。 「⁈」 母親は死んでぐったりしている我が子を抱き乳をやっている。母親の座る隣には般若の面。近くには同じように面をつけた赤子が寝ている。その様子が恐ろしいのと何故死んだ赤ん坊もここにいるのか。そしてこの般若の面・・・・・すぐに両親のもとに行き話を聞く。 「仮にも双子が産まれてしまったのです。この村の言い伝えはあなたも知っているでしょう?小此鬼家に災いが来ては困ります。なので、今朝早くきぬと一緒に二人の赤子を座敷に連れて行きました。勿論お面を被せてね。赤子を寝かせて座敷を出ようとした時、丁度あの人が目を覚ましたので私の方から全て話しておきました」 淡々と話す祖母に 「全て⁈もしかしてお産婆が手にかけた事も・・・・・・」 「ええ。言いましたよ。子を産んだ母親をだますことなどできないでしょ?正直に言った方がいいんです」 ぴしゃりと言い放つ。
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