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主人は唖然としながら
「で・・・・・・それで・・・・・・ショックを・・・・・・」
主人は死んだ子に乳をやる母親の姿を思い出す。
「そうみたいですね。仕方がありません。第一、跡継ぎの男の子を産むのではなく女の子を産んで。しかも双子。本当に役に立たない」
苦々しく言う自分の母親を主人は信じられなかった。
「後、きぬには常に側にいるように言っておきました。狂った母親は何をするか分からないですからね」
そう・・・・・・それから私は奥様の側に常にいるようになった。家の者は皆、そんな奥様を気味悪がり近寄らなくなった。
一番困ったのは匂いである。死んだ者の匂いは今まで嗅いだことのない強烈な匂いだった。奥様の近くに行くときは、奥様に気づかれないように自分の鼻の穴の奥に布団の綿を詰め込んで行ったものだ。
次に体が膨れ腐っていく。奥様が毎日のように産湯にいれているので比較的綺麗になってはいるが、洗うたびに、腐敗した肉がそぎ落とされていく。その繰り返し。次第に体が小さくなり、骨が見え内臓も落ち最後は小さな骨だけになった。死んだ赤子が寝ていた布団は赤黒く染まっており、いくら洗濯をしても取れない。
しかし奥様は、骨だけになった我が子を綺麗に紐で繋ぎ人型にしていた。関節の部分を紐でつないでいるのだ。動かすたびにカタカタと乾いた音がする。勿論顔にはあの般若の面を被せて。
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