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しかし、私は我慢した。ある事の為に。偽りももう終わる。
私は、こちらに背を向けて座るチヨ様にそっと近づいて行った。隣には、ぼろぼろの着物を着て白骨化したハル様が寝かされている。
私は、震える足に力を込め思い切りチヨ様を突き飛ばした。小さいその体は簡単に小川の中へと落ちた。しかし小さな小川である。驚いたチヨ様はすぐに体を起こし振り返った。お面の目の部分の穴から、驚き大きく見開かれた目がある事だろう。
「きぬ・・・・・・」
私の動きは止められない。
びしょぬれのチヨ様に乗りかかり、無理矢理顔を小川につける。子供とはいえ、必死になっている時は結構な力を出すものだとこの時知った。
しかし、やはり大人の力にはかなわず,暴れに暴れたチヨ様は次第に静かになって行った。興奮状態の私は静かになったチヨ様の頭をいつまでも小川の中に押し付けていた。
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