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パシ
近くにある楠の方から音がした。恐らく小枝でも落ちたのだろう。私はその音でハッと我に返った。
「はあ、はあ、はあ、はあ」
体全体で息をしながら、足元にうつ伏せで横たわるチヨ様を見下ろした。もう体の震えはなくなっている。顔を見ないように素早く二人の般若の面を外す。七つの誕生日の時にどうしても取れなかった面は、主が死んだからなのかするりと外れた。きぬはソレを懐に入れると、楠の側に二人をなるべく小さくした状態で置いた。
後で穴を掘って埋める予定である。取り敢えず、誰にも見つからずに早く屋敷に帰らなくてはならない。そして、あの人に報告を・・・・・・
きぬは、懐にある般若の面を手で押さえながら走って屋敷へと向かった。
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