橋本

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それまで写真に女の子が写っていたり、女の子らしい声が聞こえて来たりしてたからそう思ったのか。 でもそれは先入観ってやつかもしれない。階段の所にある明り取りの窓からの日を背に、その顔は逆光になっていた。こうやって落ち着いてあの時の事を思い出してみると、女の子じゃなかったような気がする。 「橋本。俺が見たのって女の子じゃないかも」 「え?じゃあ何だよ。あの時さ、お前がすごい叫びながら外に飛び出していっただろ?その時にお前が二階の方を見ていたの分かったから俺も咄嗟に振り向いたんだよ。でも何にもいなかったんだ。じゃあ。結局何を見たんだ?」 「わからない。でも人には間違いないと思う。でも、今こうやって思い出そうとするとソレが人だったのかすら自信がない」 あの時の驚きは本当に凄まじかった。 いるはずのないもの。床擦れれの所で壁から垂直に出る何か。記憶があやふやになっても不思議ではない。
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