橋本

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玄関に靴があるのに気がつかなかったのか。 俺は台所で夕食の支度をしている橋本の母親がいる方へ行くと 「お久しぶりです」 「あ、ごめんね。本当に久しぶりね元気にしてた?」 夕食の準備をしながらこちらを向き笑顔で話す。 昔会った時よりだいぶ老け込んでいる。年を重ねるという事がこんなにも表に出るものなのか。自分の過去の記憶が美化されているだけなのか。そんな失礼な事を考えながらその場に立ったまま世間話をしていた。 「あ、そうそう気がつかなくてごめんね。夕飯食べていく?」 「すみません。遠慮なくいただきます」 高校の時はこうやって遠慮なく世話になっていたので、ついその時の気持ちのまま言ってしまった。 俺が、しまった!という顔をしたのを見た橋本の母親は笑いながら
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