橋本

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橋本の母親はふぅ~とため息をつくと 「ごめんね。久しぶりに来てくれたのにこんな痴話げんか見せちゃって。就職活動を怠けて身内の会社に勤めたのが悪かったのよ。ちゃんと自分のやりたい事で考えなかった罰ね」 そう言うと橋本の母親は夕食の準備を再開した。俺は何も言えず二階へ行こうとした時 「あ、ご飯七時ごろできるから、その頃に下に来て頂戴」 と言われた。 「わかりました」 橋本の部屋へ行くと、橋本は吞気にベッドの上で横になりながら漫画を読んでいた。 「お前。余り親を困らせるようなことはするなよ」 「ああ」 やけに素直だ。いつもは一言二言、言い返してくるのに。 恐らく、俺に遠慮しているのだろうと思った。両親を一気に亡くした俺の言葉は、橋本にはリアルに聞こえるのだろう。 俺は近くにある漫画を手に取り読みだした。
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