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「あれ?」
誰もいない。
しかし、テーブルにはきちんと三人分の食事が用意されていた。黙って食べてしまうのも気が引けたので、勝手知った家だ。俺はテレビのある部屋、和室などを見て回り橋本の母親を探した。
いない。
二階にでもいるのかな。それにしては階段を上がる足音は聞こえなかった。一応橋本に言わないとな。
「?」
階段を上がろうとした時、廊下の先にある玄関が少しだけ開いているのに気がついた。何だ、外にいるのか。俺は迷わず玄関に行きドアを開けた。
いた。
橋本の母親は玄関のポーチに腰を下ろしていた。
「あの・・・・・・」
俺の声に驚いたのか、橋本の母親は凄い勢いで振り向いた。
「あ・・・・・・すみません。七時になったので下に来たんですけど、誰もいなくて。ここで何やってるんですか?」
「え・・・・・・あ、ああ夕涼みよ」
取り繕っているのが見え見えだ。夕涼みするほど今日は暑くなかった。流石におかしいと思った俺は橋本の母親の隣に座る。
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