86人が本棚に入れています
本棚に追加
/250ページ
二週間前の深夜、いつものようにコンビニ弁当片手にクタクタになりながらアパートへ戻る。温めるのも面倒なので冷えた弁当を食べていると携帯が鳴った。
「はい」
「あ、もしもし?やっと出たよ」
「?」
「俺。相馬だよ」
「お~久しぶり」
相馬とは俺の母親の妹の子供、つまり従弟である。
「どうしたんだ?」
「は?どうしたんだじゃないよ。今どこにいるんだ?」
相馬は俺の一つ年下。小さい頃は兄弟のように遊んでいた。
「え?家だけど?」
「家⁈何回も電話したのに何やってたんだよ!」
「何って、仕事だよ。いま凄い忙しくてさ」
「・・・・・・そっか」
「おい何なんだよ」
訳が分からずイライラして聞いた。
「落ち着いて聞けよ。お前の親・・・・・・叔母さんたち事故で亡くなったんだよ。俺今病院にいるんだ。とにかくお前も今から来い。場所は・・・・・・」
何かの冗談かとも思ったが、相馬の口調から冗談でも何でもなさそうだ。
「・・・・・・」
事故・・・・・・頭の中で相馬の言葉を反芻している間に電話は切れていた。携帯を確認すると、相馬からの電話が昼から何回もかかってきている。訳の分からないまま、俺は出かける用意をすると何かに急かされるように家を出た。
時間も遅いので、電車がないのではと思ったが何とか間に合う事が出来た。ほっとして座席に体を預ける。残業続きの疲れた体だったが、相馬の電話のせいで疲れは感じない。その代わり気持ちが落ち着かないでいる。
(事故にあった?お袋たちが?何で?いつ?・・・・・・死んだ?)
ようやく疑問が次々と出てくる。電車の中では携帯は使えない。相馬から電話をもらった時にもっとよく聞くんだったと後悔しながら、はやる気持ちを抑え目的地に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!