23時の公園にて…

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 警察官は眼鏡を光らせながら言った。 「失礼ですが、こんな時間に何をされているのですか?」 「実は…私…ヒックヒック」  警官の表情に困惑の色が浮かんだ。我ながら手際が良い。伊達に百年、人を脅かしてきたわけではないと、自分を誇らしく思った。 「落ち着きなさい、とりあえず…これで涙を拭いて…」  しめた。ハンカチを持っているなど、今時の男性にしてはとても好感の持てる人物だ。私は心の中でほくそ笑むと、そっとハンカチを受け取った。  後は簡単だ。ハンカチのせいで顔がなくなった演出をすればいい。  私はのっぺりした顔で警察官に言った。 「ああ…涙と、涙と共に…顔がぁ!」  警察官の表情が凍り付いた。彼は懐中電灯を落とし、そして言った。
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