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私の正体はのっぺらぼう。月夜の晩に姿を見せ、こうして定期的に人を驚かせている。なぜと聞かれても困る。人を脅かすのが妖怪の生きがいだからだ。
足音が聞こえてきた。制服姿の生真面目そうな警官。今回のターゲットだ。
ふむ男性か、ならば女性がいい。それもなるべく美しいものだ。記憶を遡りながら真面目な男性の好みそうな清純な姿をピックアップ。ロングヘアー、それも前髪で顔が隠れるウィッグを被る。
次に素早く目に目薬をさした。左右に2滴ずつ。程よく頬に垂れ、即席の痛ましい女性が完成した。
後は、大地を蹴ってブランコを動かす。準備万端だ。
警官もどうやら私に気付いたようだ。懐中電灯で私を照らし、訝しい顔で話しかけてきた。
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