ほたる祭りの夜2

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 そうこうしているうちに美弥子の頼んだカルボナーラが彼女の前に無造作に置かれた。 「堂宮君、お先にいただくね」  美弥子はクスッと笑い、フォークに手を伸ばした。  最初の一口をほおばると美弥子はこう語りかけた。 「いずれにしても、私たちには癒しが必要なようね。堂宮君は、そのピュアさゆえの苦悩、心の砂漠に一杯の澄んだ水が必要なのよ。私の場合はね、(すさ)んだ心に暖かな癒しのワンピースが必要なのよ」 「なんだいそりゃ……」  堂宮は少しおどけてみせた。 「堂宮君、癒しといえばなにを連想する?」  美弥子は少し間をおいて堂宮に問いかけた。 「癒し? 家に帰ってテレビを見ながら冷たいビールをグイッとやる瞬間に、ああー、地球に癒されてるなー、って痛感するよ」 「なんだいそりゃ‥」  美弥子はさきほどの堂宮の言葉を物まねしてみせた。 「だって正直、癒しって言われてもピンとこないよ」  そこで堂宮が頼んだポークステーキがようやく彼の前に届けられた。 「癒しといえば、自然でしょ!都会の喧騒とおさらばして、田舎でのんびりしたいと思わない? 好きなときに寝て、好きなときに起きる。なにかに追い立てられることもなく、のびのびと、ただボーっとしながらのんびり心を癒すのよ」 「田舎? うーん、でも1日いたら退屈になっちゃうんじゃない?」  堂宮には、心安らぐ田舎での弛緩した生活は即座には想像できなかった。 「私の大学の後輩にね、いま誘われてるの?」
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