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木曜日。石上はいなかった。
とにかく仕事に集中した。いつもの三倍の仕事をこなして、
間宮が驚いていた。
「先輩!待って下さい!」
就業時刻になり、帰ろうとしたら間宮が追いかけて来た。
「今日、すごい勢いで仕事してましたよね」
「残業したくなかったの。旅行代理店に行きたかったから」
「旅行?どちらに?」
「……香港」
間宮が目を丸くした。
「また課長に会いに行くんですか?」
「呆れるでしょ。自分でも呆れてる。だけど今のままじゃダメなの。もう一度課長に会って気持ちをぶつけて来たいの。じゃないと、諦められない」
「課長を諦める為に会いに行くんですか?」
「そうね。そうかもしれない」
「いいか、悪いかわかりませんが、頑張って下さい」
「ありがとう」
石上にプロポーズされて思った。
やっぱり私は課長が好きなんだって。
課長に好きな人がいても好きなんだって。
この気持ちをちゃんと伝えたい。
だから、会いに行く。
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