27 本当の気持ち【上村】

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 土曜日は帰国して、長野に行った。  葵はまだ大学病院に入院していた。  病室に行くと、先週よりも顔色のよくなった葵が瞬きしてこっちを見た。 「お父さん!また来たの?」  ベッドの側に座ると葵が呆れたように言った。  葵はベッドの上に座って、本を読んでいた。 「毎週香港から戻って来なくてもいいのに」 「酷い言い草だな。7時間かけてやって来たのに」 「もう、子離れできないんだから」  葵が笑った。  先週よりもしっかりした声だった。 「体調はどうだ?」 「いいよ。来週、退院できそう」  ほっとした。 「心配かけちゃって、ごめんね」  葵がすまなそうな顔をした。 「子どもの心配するのが親の仕事だからいいんだよ」 「お父さんさ」と言って、葵がじっとこっちを見た。  目が合った瞬間、照れ臭くなった。 「何だよ」 「なんか感じが変わったなと思って。香港で暮らしてるからかな。いや、違うな」  考えるように葵が腕を組んだ。 「好きな人できた?」 「え」
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