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夕方、隼人を葵の家に送って行った。
美月と結婚してから長野で暮らしてる。美月がそうしたいと言ってくれた。職場も希望を聞いてもらい、美月と二人で長野支社に異動になった。
土日は時々、隼人を預かってる。
隼人と遊ぶのは楽しいが今日はハリキリ過ぎて少し疲れた。
「おかえりなさい」
帰って来るとダイニングから美月の声がした。
いい匂いもする。今夜はカレーだな。
「やっぱりカレーだ」
ダイニングテーブルの上にサラダとコンソメスープとカレーが並んだ。
「幸一さんが食べたいって言ったから」
「リクエストに答えてくれたんだ」
美月と向かい合って座る。
「いただきます」
美月のカレーが好きだった。
市販のルーを使ってるけど、ルーを炒めるという一手間をかけてくれて、美味しい。
圧力鍋で作るので肉も柔らかい。暮らしてみてわかったけど、美月は実は僕より料理が上手いし、こっている。
美月に勝てるのはきんぴらごぼうの味付けぐらいだ。
「本当に美味しそうに食べるね」
美月が言った。
「本当に美味しいんだよ。明日から出張行きたくないなー」
「課長さんがそんな事言っていいの?」
「もう美月と離れたくないんだよ。香港と日本で1年も離れてたから」
「あの時は大変だったね。でも、香港と日本じゃなきゃ、幸一さん振り向いてくれなかったんじゃない?」
「そんな事ないよ」
「ある。だって幸一さんと同じ課だった時は何も進展しなかったもん。がんばって飲み会とか幸一さんの隣座ったり、酔ったふりして送ってもらったりしたのに。幸一さん全然襲ってくれなかった」
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