2 3年越しの告白【美月】

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 駅に着くと課長と一緒に降りた。 「少し休憩しようか」と言われ、ホームのベンチに座った。    正直助かった。このまま会社に行く気力も、どこか適当な店に入る気力もない。 「良かったら、どうぞ」    隣に座った課長がコートのポケットから缶コーヒーを取り出した。 「会社で飲もうと思って、さっき買ったんだ。まだ温かいから」    渡された缶コーヒーの温かさに、ホッと心が緩む。こういう気づかいが出来る人なんだ。だから、いいんだ。 「何かすみません」    課長の優しさに胸が痛くなる。  あんなことをしたのに、課長は何もなかったような顔をしている。 「いいんだよ。僕もこうしたかったから」  穏やかな顔をした課長が、いつも通り過ぎて痛い。 「ちょっとくたびれたよ。正月ボケかな」  課長があははと笑った。  あんな事があっても課長は気楽に笑えるんだ。  私の事なんて、何とも思ってないんだ。  課長の隣にいるのに、悲しくなった。 「先に行って下さい。本当にもう大丈夫ですから」  普段通りに言ってるつもりなのに、声がちょっだけ震えた。 「本当にもう大丈夫ですから」 「僕が邪魔?」 「え?」 「僕の顔なんか見たくないよな」 「いえ、そんな……」  顔を上げると、ちょっと困ったような課長の目と合った。
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