2 3年越しの告白【美月】

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「この間はその、すまなかった。急にあんな事されてびっくりしたというか、どう反応したらいいかわからなかったんだ」  思いがけない言葉に心が揺れる。 「だからその、怒ってないから。僕に怯えないでいいから」 「怯えてましたか?私」 「うん。電車に乗った時、僕を見つけて表情が強張ってた」    課長に見られてたと思った途端、頬が熱くなる。 「背を向けてたのにわかったんですか?」 「窓ガラス越しに君の姿が見えたんだよ」 「なんか、すみません。私が悪いのに」 「イヤ、僕も悪かったよ。突き放すようにして君をエレベーターから降ろしたから。大人らしい対応が出来ていなかった」 「いえ、私の方こそ」 「いや、僕の方こそ」  目が合った時、課長がバツが悪そうに笑う。    そんな顔した課長を見たの初めて。  ああ、そうか。課長、照れてるんだ。あのキスを気にしてくれてたんだ。    そう思ったら、くすぐったいような気持ちになる。 「という訳で、あの事はきれいサッパリ忘れよう。酒の上での事だ」  ――酒の上での事。  その言葉に胸がズキッと痛くなった。 「そうしてもらえると、助かります」    作り笑いを浮かべた。 「本当に助かります」  胸がさらに痛む。なかった事にしたくない。拒絶されてても、あの夜の事はちゃんと覚えてて欲しい。あの夜のキスは本当の気持ちだから。お酒のせいじゃないから。  目頭が熱くなった。   ダメ。ここで泣いたら変に思われる。ダメだ。ダメだ。泣くな。
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