2 3年越しの告白【美月】

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「一瀬……君?」    課長の顔がどんどん曇って見えてくる。 「すみません、何でもないんです」  鼻をすすって、涙を拭った。だけど、涙は拭っても、拭っても浮かんでくる。これ以上、こんな醜態見せたくないのに。 「ご、ごめんなさい」    涙声で口にした時、日なたの匂いがした。  課長がハンカチで涙を拭いてくれた。 「課長……」 「そんな顔されたら、どうしたらいいかわからないよ」  困ったような、心配するような課長の顔があった。 「課長、会社に行って下さい。遅刻しちゃいますよ」 「まだ大丈夫だよ」 「でも」 「泣いてる子を一人にしないよ」  課長がポンポンと優しく頭を撫でてくれた。  完全に子ども扱いされてる。だけど、嬉しい。  嬉しくて胸がいっぱいになった。 「好きです。課長に恋してます」  気づくと、心の声が出ていた。  課長に片思いして三年、初めて自分の気持ちを口にした。
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