12人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
1話 中山力也(オレ)賞金首3億
オレにとっていじめのリーダーになることは必然だった。
弱気ものを強気ものが淘汰する。だからこの日も笹株がいることを楽しみにしていた。
それがクラスメイト30名そろったところでも笹株はいなかった。
笹株がいない日なんて珍しい、あいつはトイレに頭を突っ込まれても、しょんべんかけられても、顔をぶん殴っても、毛虫を背中に入れられてもにやにやと勝気なほほえみをしているのだから。
その勝気なほほえみを絶望にさらしたい、
それがいじめのリーダーとなった俺の役目でもあった。
隣の席には守山足陸がいる。彼はイジメの達人なのかもしれない、
いつもオレが言う虐めをさらに頭をひねって考えてくれる。
「なぁ力也、笹株こねぇな」
「ああ、張り合いねーぞ、あいつが休むなんて初めてだな」
「力也がいじめすぎたんじゃーねの」
そう前の席から呟いたのは真崎五郎だった。彼はいつも控えめないじめをしているくせに、みんながいじめ終わると、率先して笹株をぼこぼこにしている。
「そりゃこっちのセリフだぜ五郎」
「それに違いねーぜ」
「力也、笹株が来るかこないか賭けねーか、昨日金はいったからさ」
「まぁた秋夜は親だましたんだろ」
「け、いいだろ」
池上秋夜はにやにや笑っている。彼は嘘を言うのが得意なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!