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「無理だ…俺は早苗のことは忘れない。だが、このことは忘れる。あの姿をもう一度見ることなんて、俺にはできない。出て行ってくれ」
直ぐに否定の言葉が出た。
「そうか…、残念だな。まあ、警察には電話しといてやる。白崎っていう刑事が来る。何も言わなくていい。全て上手してくれる」
男は腰を上げ、ドアに向かった。
あっさりと引いた男に拍子抜けし、男の背中を見送っていると、クルリと振り返り
「そうそう、気が変わったら、ここへ電話しろ。じゃあな」
そう言って、ピッと、何かを投げてよこした。
それは真っ直ぐに俺の手に飛んできて、思わず掴んでしまった。
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