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母さんを見つめ止まっている父親の横に立つ。 「加奈子…」 いつもは母さんと呼んでいたが 「加奈子…」 もう一度、母さんの名前を呼んだ。 表情は変わらないように見えた父親の目から一筋の涙が頬を伝って落ちるのが見えた。 たったそれだけ… 泣き叫ぶこともなく、縋り付くこともなく。 俺たちを置いて逃げたと、恨みがましく思う気持ちは、やはり俺の何処かにあった。 だけど…
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