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ティンルン… ティンルン…
どこからか遠く聴こえた音。
ベル音。
携帯アラームとは違うその音に目が覚めて、手を枕の下に忍ばせて取り時間を片目で見てみる。
「 ん、5時じゃん 」
私は二度目の眠りにつくと夢を見た。
_______________
アメリカ、テキサスにある小児病院。
『 ………彼が深く眠りについてしまっている原因はわかりません。
頑張ったんですよ、今は彼を見守りましょう… 手術は…成功し… 』
誰?
白衣は…… お医者さん?
この子は?
起きないの? どこが悪いの?
優しいキレイな顔、なのに悲しそうだね。
大丈夫、あなたは必ず目覚めるよ。
私がずっとそばにいてあげる。
王子様だって、キスで目覚めるんだよ。
ね、起きたらきっといい事あるよ。
約束。
私がいるよ… ずっと、そばに……
だから、起きて……
______________
小さい頃見た夢。
この夢を最近よく二度寝するたびに何度も見ていた。
なぜか私の夢は誰かを助けようとする夢。
眠る誰かを目覚めさせる夢。
眠る誰かに、優しくキスをする夢。
夢は夢でしかない、目覚めれば終る夢。
二度目の眠りからゆっくり目覚めた私は携帯のアラームが止まっている事に気づいた。
「 やっば!遅刻しちゃうっ 」
慌ててベッドから飛び起き洗面所に駆け込む。
ティンルン… ティンルン… ティンルン…
顔を洗う水音で私の耳には聴こえない音が鳴っていた。
始まりはこの夢。
そして、私の生活が一変する前兆だった。
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