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入店後、座敷に座ってると少しして伊藤、山口、湯川が二人の女性を連れて入ってきた。
「あれ、若ちゃんもう着いてたの?」
幹事の伊藤がとぼけた顔をして言う。僕は座敷の左隅通路側にいるから、ささっと横目で彼らに目を向けながら「うん」とつぶやいた。
僕の前方、座敷の左隅奥側にいるくしゅくしゅセミロングの彼女は、ニコニコと笑みを浮かべたまま僕や伊藤たちの様子を観察している。
「え、もう二人だけで始めちゃってる?」
お調子者の湯川がニヤつきいじってくる。バカ、グラスも何にもないんだよ。小学生でもわかるでしょ。
「待ってたんだよ」
僕は少し冷めた口調を吐いたが、湯川はヘラヘラ笑いながら「うっそーん」と言い絡んできた。無視してやる。
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