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「およ? 玲さん着替えたんですね」
まさか一番の敵は美咲ちゃんだったとはね。いや、あんなに可愛くて優しい美咲ちゃんが敵な筈がない。てことは……味方撃ち?
というか……真希ちゃんはなぜ気づかなかった?
「あ……、そうだっ! 玲さん聞いてくださいよ」
美咲ちゃんが顔をりんご飴と同じくらい赤く染め、目には涙を溜めている。
――嫌な予感がする。いつも元気で天使のような微笑みを浮かべている女の子が泣きそうな時点でろくなことはないだろう。
「えっと……この子、真希ちゃんっていうんですけど、この子が泊まる予定だった家の人が真希ちゃんを一人置いて友達の家に泊まりに行っちゃったらしいんです。酷いと思いませんか?」
ああ。なるほど。察しました。今、怒られてるのは俺ですね。
――だって俺ですもの、そいつ。
体温がどんどん下がっていく。そして、冷や汗は止まらない。
「美咲さん……わざわざ、あんな人の為に怒る必要はないわ。貴女の大事な時間をそんな事に浪費するのは勿体無いもの」
やだなぁ。怖いなぁ。めっちゃ怒ってるじゃないですか。
ちらと見ると真希ちゃんはとても良い笑顔をしている。ただ、これまでで一番瞳が冷めきっていた。
「なんで? そんな人酷いよ! ムカムカしないの?」
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