② いかなるときも小鳥遊玲は(が)怒られる

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 三笠商店街の入口にある自販機は、一目見てわかる程度には不思議なラインナップだった。  見慣れない派手なラベルとボトルに詰められた全く味の想像ができない蛍光色が原因なのは言うまでもないが、そういうのが案外うまいから何とも言えない。    なかでも、『ベリーマッチ』は昨今の強炭酸ブームに負けず微炭酸を謳っているあたりが何処となく硬派な気がして、見かけたらついつい飲んでしまうくらいには気に入っていた。  かったるげなモーター音を立てる自販機に催促され百円玉を三枚投入する。  ベリーマッチを購入してから、別に物で誤魔化そうだなんて微塵も思っていないが、念のため朝日の分の『午後の紅茶』も買っておくことにした。……ほんとだよ。レイ、ウソ、ツカナイ。  ※ ※ ※  十分ほどYデッキに設けられたベンチに腰掛け昼飯は『バーガーキング』がいいのか、それとも『替玉食堂』にするべきか考える。 「そーいえば、バーガーキングって米国サイズなんだっけ」  ソースは親父。新婚旅行で訪れたハワイでSサイズを注文したら、日本(こっち)のLサイズが向こうのSサイズだったとのこと。  そりゃハワイだからだ、とは決して言えず、中央店のホームページを見ても明らかに既知のハンバーガーとは違い、ズシリという擬音がぴったりな重量感があった。  
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